赤い衣に金の面をつけた鬼差の隊長。内側に燐粉を仕込んだ一対の流星錘を操り、鎖を振り回して燐粉を撒き散らす。触れた敵は即座に燃え上がる。地面に叩きつければ、一面に燐火が噴き上がり、火花が四方に散る。
燐火を操る者として、火流星はその恐ろしさを誰よりも知っている。だからこそ常に慎重で、燐火への畏れを抱き続けていた。さらに体内の「楔子」の作用で、何事も「組織」を最優先に考えるようになり、自分の身を顧みることはほとんどなかった。
――ある任務で偶然、旅の医者を助けるまでは。
医者は礼として仮面を差し出し、「あなたほどの御方なら、華やかな仮面で身分を示すべきです」とため息をついた。火流星は断るつもりだったが、医者は命を懸けて誓った。この仮面は殺気を御する助けとなり、武功の発揮にも大いに役立つという。
燐火を抑えるため、来る日も来る日も同じ技を繰り返す。なんと味気ない日々だろう。長く隊長の座にありながら、「組織」の高手の列にはいまだ名を連ねられない。その悔しさも、ずっと彼の胸を焼いていたのかもしれない。
その瞬間、彼にはもう断る理由が見つからなかった。