「至高者」配下の四名の「滅法の法」の一人、雷婷。案山子に身を隠し、裏武林の空間に潜む。
濃い緑の衣をまとい、払子を手に、天雷を殺戮の武器として操る。払子を軽く振れば、数本の雷柱が空から降り注ぐ。雷の勢いに乗って飛び回り、自らを中心に環状の雷の陣を広げて、四方を揺るがすこともできる。
もとは夢差を監視するため龐鎮へ深く潜入したが、囚命の警戒は厳重で、手を出す機会を得られなかった。のちに「至高者」の指示で、異変が相次ぐ人面大榕樹の調査へ移った。樹の中には殺気が満ちている。これを奪い取れれば、「裂け目」を開く助けとなり、聖母の降臨を早められるかもしれない……
世の法は、すべての罪に寛容だ。だが大慈大悲の聖母が降臨すれば、九天の神雷がすべてを裁く。偽りの理は崩れ、罪は厳しく罰せられ、絶対の公理が人の世を作り直す……彼女はそう固く信じている。