白山派の大師姉にして、門主・畢桃桃の一番弟子。魂が幽閉の地で彼女と出会った時、その仮面はすでに砕け、体内に荒れ狂う殺気を必死に抑え込んでいた。手にした軟剣は、しなやかでありながら折れることなく、なお気品と端正さを失ってはいなかった。
恩師・畢桃桃と同じく、烏冷霜もまた、龍体改造と殺気改造はいずれも邪法であると固く信じていた。畢桃桃の消息が途絶えると、彼女は師と真相を求める旅に出た。
その目で見るまでは、烏冷霜もよもや、同門の姉妹たちが怪面や人形へと改造されていたとは思いもしなかった。その秘事を突き止めた彼女もまた、災いを免れることはできなかった。そして殺気が制御を失うその時まで、烏冷霜は山道の果てへ連れ去られた師の身を案じ続けていた。
彼女はもともと豪商の娘だった。だが、乱れゆく世を目の当たりにし、武の道を志した。
彼女はもともと舞によって培った、しなやかな身のこなしを持っていた。だが殺気に駆られ、狂ったように剣を振るうこととなった。
彼女はもともと白山派の大師姉だった。だが、もはや師門を守る力もなく、師や先達に合わせる顔もない……
改造された身となってなお、残ったのは忠義の念と悲痛だけだった。