白蛇屋の前を守る鬼差の達人。双鉞に旋回しながら斬りつけられた者は、腸がちぎれるほどの激痛に襲われる。ゆえに「断腸」と呼ばれる。青一色の袍をひるがえして戦う姿は、羽ばたく青い蛾のように軽やかだ。天煞双鉞が冷たい光を放ちながら、身体とともに目まぐるしく回り、攻撃は絶え間なく続く。何度死闘を重ねても、衣には塵ひとつ付かない。
彼は常に落ち着き払っている。手練れを相手にするときは、冷静に思案して技を見切り、崩していく。弱者を相手にするときの落ち着きは、憐れみではなく無関心だ。これもまた、彼独自の生き残り方だった。他人の生死は心に留めず、ただ情勢を見て、自分の進退を計る。
左殤が冥主となる前、断腸は鬼差の手練れたちのなかで、さして目立つ功績もなかった。ところが左殤が冥主の権力を握ると、断腸は白蛇屋の守りという重任を任された。断腸の冷静沈着さが左殤の信頼を得たのか、それとも左殤による「特別な配置」なのか……そして今、断腸が迎えた末路は、はたして左殤の筋書きのうちなのだろうか。